もし、自分が登山中に遭難したり、怪我を追ったり病気をして、救助を求めることになったらどこに連絡をして、何と伝えたらいいのでしょうか。今後、万一自分が救助される側になったときの連絡法などをまとめました。
遭難事故の発生件数
警察庁による「平成30年における山岳遭難の概況」から登山の遭難発生状況によると、平成30年(2018年)の遭難者数は、3,129人。そのうち、死者・行方不明者は342人でした。
遭難してしまう原因は、1位「道迷い」(37.9%)、2位「滑落」(17.4%)、3位「転倒」(15.0%)となっています。
出典:山岳遭難の概況(警視庁)
救助を受けるときの手順
まずは自力下山が基本です。しかし、病気や怪我、低体温症など命にかかわる緊急事態に陥ることもあるでしょう。救助が必要になったときの手順をまとめました。
なお、事前にできる対策や、道迷いのときの対策は関連記事にまとめています。
関連記事: 登山で遭難しないために事前にできる対策と、迷ったときの確認法
連絡手段があるときの連絡先と連絡事項
緊急時の連絡先は2つあります。
110番と119番です。
110番は警察につながり、119番は消防(救急)につながります。基本110番ですが、どちらに連絡しても情報共有はされるので大丈夫です。
救助を要請する際、何を伝えるのか
まず、山岳遭難であることを伝えます。担当部署に転送されるか折り返しの電話があります。聞かれることが想定される内容をまとめました。
- 場所(緯度・経度、尾根か樹林か、予定していた目的地、目印となる場所からの分数など)
- 事故発生日時
- 怪我、病気などの容態
- 原因(クマに襲われた、滑落したなど)
- 食料、水、燃料の有無
- 要救助者の人数、氏名
- 救助要請者の氏名、住所
- 連絡手段(携帯電話など、電池の残量も伝える)
- 現場の天候
- 登山計画書の提出有無 など
ヘリコプターに見つけてもらうには
上空から見つけるのは至難の業のようです。こちらも見つけてもらう努力が必要です。以下のような方法が有効です。
- 目立つ色の服を持ち、上空に向かって円を描くように振る
- ヘッドライトの明かりをつける
- 鏡で反射させる
- エマージェンシーシートをつかう
いざというときのエマージェンシー寝袋
連絡後にやること
携帯電話で家族に連絡をとるのは必要最低限とし、バッテリーを温存します。不安で電話が何度も来るかもしれませんが、家族からの連絡も止めてもらいましょう。
救助が必要だが、連絡手段がないとき
問題はこちらのケースです。
仲間が複数いる場合
誰かが付き添い、複数人で山小屋か登山口のビジターセンターなどで救助が必要なことを伝え、助けを請います。
二人の場合
通りがかりの人がいれば、救助要請をお願いします。いなければ、十分行動できる時間帯ならビバークの準備を整えたうえで、一人が救助要請に動きます。行動中に暗くなるようであれば、二人でビバークし、朝になってから行動します。
単独登山の場合
これが一番難しそうです。ただ、電話は通じなくても、メールなら届いたケースがあるようです。メールを念のため送ってみて助けを請います。
他にも周囲の人に気づいてもらう努力と、もしもに備えてビバークの準備をします。
- メールを送ってみる
- ホイッスルを鳴らす
- クッカーなどの音を鳴らす
登山用品には何が必要なのか事前に確認を。いざというときのために登山用品をレンタルしておくと安心です。冬用アイテムやフルサポート12点や初心者まるごとセットもあります。
まとめようと思った理由
以前、自力歩行できず、3人に抱えられている人を見たことがあります。高齢者の方で、下山まであと少しのところでしたが、立つこともできない状態でした。
私自身はまだ遭難の経験はありませんが、大菩薩嶺に登ったとき、豪雨で前方が見えない悪天候の中、下山するのに怖い思いをしました。判断能力も鈍っていたと思います。しかも初心者の私はコットンの服で登っていました。今思うと低体温症の恐れがあり、危険でした。
そこで今後の自分のために、万一救助を受けるときに焦って訳がわからなくならないよう、どう対応したらいいのか、記録に残しておこうと決めました。
なお山岳遭難の救助には数十万ものお金がかかります。自費や保険で負担することもありますが、多くは税金で賄われています。自分のせいで自治体の税金を使うのも迷惑な話です。
山岳遭難に遭わないよう、事前準備と無理をしないゆる登山を続けていこうと思います。
参考文献: 「山のエマージェンシー」(山と渓谷社)