私は痩せたいと思っています。今の体型は痩せているとは言えません。いわゆる下半身デブです。ダイエットしても胸や顔から痩せていきます。でも太るときは足やお尻から。
人間の体って不思議ですね。
登山を地味に続けてきましたが、特に痩せたなあと感じたことはありません。なぜ痩せなかったのでしょうか。私が食いしん坊だからでしょうか。
登山の消費カロリーとダイエットとの関係性についてご紹介します。
登山の運動強度は他のスポーツと比べて高い
実は登山の運動強度(メッツ)は他のスポーツと比べて高めです。
運動の強度のことをメッツといいます。メッツと運動例をまとめました。
メッツ | 運動例 |
2.5 | ヨガ、ビリヤード |
3.0 | ボウリング、バレーボール、社交ダンス |
4.0 | 卓球、パワーヨガ、ラジオ体操第1 |
5.0 | 野球、ソフトボール、サーフィン、バレエ(モダン、ジャズ) |
5.5 | バドミントン |
6.0 | ゆっくりとしたジョギング、ウェイトトレーニング、 バスケットボール、水泳(のんびり泳ぐ) |
6.5 | 山を登る(0~4.1kgの荷物を持って) |
7.0 | ジョギング、サッカー、スキー、スケート |
7.3 | エアロビクス、山を登る(約4.5~9.0kgの荷物を持って) |
8.0 | サイクリング(約20km/時) |
8.3 | ランニング(134m/分) |
9.0 | ランニング(139m/分) |
10.0 | 水泳(クロール、速い、69m/分) |
10.3 | 武道・武術 |
11.0 | ランニング(188m/分) |
参照:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」
登山はどの程度の荷物を持って歩くかによって、異なります。日帰りなら6.5メッツ、宿泊ありなら7.3メッツとなりそうです。
こうして他のスポーツと比べてみると、案外ハードなスポーツであることが分かります。ということは痩せる素地はあるということになるのでしょうか。
バスケやバトミントンよりも強いのはちょっとびっくり
運動の強度を把握したら、今度は登山の消費カロリーを見ていきましょう。
日帰りと宿泊時の消費カロリーはどのくらい?
登山のエネルギー消費量を算出する式はいろいろあります。ここでは簡単に出せる下記の式を使って、軽めの日帰り登山の場合と、宿泊ありの登山(山小屋泊)の場合を想定してみましょう。
1)運動強度(メッツ)×時間×体重
※出典 1)「健康づくりのための身体活動基準 2013」
日常的な日帰り登山の場合
では日常的な日帰り登山で考えてみましょう。
1)の計算式を使った場合、仮に体重50kgの人が、4.1kg以下の荷物を持ち、5時間行動したとすれば、消費カロリーは1,625kcalとなります。
6.5メッツ×5時間×50kg=1,625kcal
1泊程度の登山の場合
続いて、1泊程度の登山の場合を考えてみましょう。テント泊ではなく、山小屋に泊まる場合を想定しています。
仮に体重50kgの人が、4.5kg~9.0kgの荷物を持ち、8時間行動したとすれば、消費カロリーは2,920kcalとなります。
7.3メッツ×8時間×50kg=2,920kcal
1日に必要なエネルギー消費量(カロリー)は、 男性30から49歳で2,650kcal、女性30から49歳で2,000kcalですから、相当な量を1回の登山で消費していることが分かります。
より詳しい計算方法:「登山の消費カロリーはどのくらい? ダイエットには向かない理由」
消費カロリーが高いため、食事制限は危険
運動強度が高いことで消費カロリーも高いとなると、登山は痩せるのでダイエットにいいのではと考えてしまうかもしれません。しかし登山の際に空腹を我慢してはいけません。なぜなら、糖質エネルギーの不足で立てなくなったり、動けなくなったりする“シャリバテ”の危険性があるからです。
蓄えた脂肪の力をもってしても、糖質不足は防げません。なぜなら脂肪は糖と一緒でなければ燃焼できないためです。血液中の糖分が不足して、低血糖と言われる症状になると、体が動かないだけでなく、頭も働かなくなってしまい判断能力が鈍ります。
糖分を使い果たすと、今度は筋肉を構成するたんぱく質を分解して糖質に変え、エネルギーを作り出します。当然のことながら筋力は落ちます。それでも間に合わなくなると体が動かなくなるシャリバテを引き起こすのです。
登山では非常に高いカロリーを消費しますが足りなくなるほどです。だから途中でカロリーを補充する必要があります。当然、ダイエットなんて考える余裕はありません。
私はシャリバテの経験はないのですが、初心者の頃、ほとんど食事を持たずに山に登り、苦労したことがあります。判断能力も低下していたと思いますし、1週間階段が下りられなくなるほど筋肉を損傷しました。
そのうえ、私の場合は登山では痩せませんでした。
私が登山で痩せなかった理由
理由は大きく2つあります。
1つ目は多分たくさん食べていたからでしょう。一度失敗してから必ず行動食を毎回余らすほど持ち込むようになりました。
それはもう食べました。登ってる最中におにぎり、頂上でラーメン、お菓子、下山しておやつ、夜は旅館で豪華なお食事。それでは痩せませんよね。
それでも1日でチャラにできるくらいのカロリーは消費しました。
2つ目の理由は頻度が低いことです。週末は必ず行く人もいますが、私は月1レベル。これではダイエットとしては少なすぎますよね。
私はこれまで何によって痩せたのか
そこでかつて私がどんなことで痩せてきたかを挙げてみます。
痩せた
- 糖質制限ダイエット
- 21時以降食べない
- ダンス、コアリズムなどの有酸素運動
痩せない
- 登山
- ハイキング
- ヨガ
- ジム
- スキー
振り返ってみて気づいたんです。頻度が高いことがポイントだと。
当たり前と言えば当たり前ですが、痩せた方法はゆるゆると数ヶ月間続けていました。糖質制限は平日の夜だけです。平日確実にやれることのほうが痩せそうです。
多分2、3日に1回登山に行けたらいいでしょうけど、社会人ならせいぜい週1回でしょう。登山は日常的には行いにくいスポーツです。
登山の目的は本当にダイエットなのか
でも考えてみたんです。食事制限してまで楽しみたいか。訓練のように週末同じ山に行きたいのか。そこでふと思いました。登山の目的がダイエットという人は、実は少ないのではないかと。
きっと楽しみついでに「痩せないかなあ」という期待(下心)がある人が多いと思うのです。もともと登山によって得られる楽しみこそが、目的なのではないでしょうか。それを失ってまで痩せたいのかと自問自答してみると、私の答えはノーです。
私はよく旅行とセットで行きます。しかもおいしいものを思う存分食べたい。苦労して登ったのに食べたいものを我慢するとかありえません。
目的地にタクシーで行くこともあります。車道を歩きたくないから。私は痩せたい。でも、登山を手段として痩せたいわけではないのです。
もっというと、痩せることは目的なのでしょうか。
きっと多くの人にとっては手段ですよね。きれいに、かっこよくなってもてたいとか、服を着こなしたいとか、健康で長生きしたいとか。
無理なカロリー消費の仕方は、かっこいい体を侵害してしまうのではと思うのです。
登山は消費カロリーの高いスポーツです。登山中の栄養補給をすることは必須。だから好きなものを好きなだけ食べられる時間と割り切っていられるだけで幸せなことだと思います。
参考文献:「もっと登れる山の食料計画」(山と渓谷社)