八ヶ岳の硫黄岳近くにある山小屋「本沢温泉」に泊まってきました。「本沢温泉」ではテント泊もできますが、今回は新館で個室のお部屋予約となります。「本沢温泉」に宿泊し、「黒百合ヒュッテ」のビーフシチューを経て、天狗岳に登って「高見石小屋」に泊まるという八ヶ岳の山小屋満喫プランを楽しんできました。
「本沢温泉」はただの山小屋ではありません。温泉好きなら一度は泊まってほしい山小屋です。行く前に知っておきたかったことや本沢温泉に行ったレビューをまとめましたので、ご紹介します。
アクセス
本沢温泉へのアクセスですが、公共交通機関の場合は、小海駅もしくは松原湖駅から本沢温泉入口まで行くのが近いです。
- 小海駅→タクシー約40分→本沢温泉入口
- 松原湖駅→タクシー約30分→本沢温泉入口
- 小海駅→バス約30分→稲子湯→みどり池経由、約3時間30分→本沢温泉
バスは季節によって運行日や時間が変わりますので、ご注意ください。
公式サイトには小海駅からタクシーと記載していますが、距離的には松原湖駅からの方が近いです。ただし、松原湖駅は無人駅になります。そのため、何かトラブルがあったときの代替手段がありません。事前予約ができているなら問題ないと思います。私たちは事前予約をして、松原湖駅からタクシーに乗りました。
当日数時間前に新幹線からタクシーの予約をしましたが、希望する時間は難しく、到着してからしばらく待つことになりました。まとめるとポイントは以下3点です。
他にもルートはあるのでもっと歩きたい方や縦走予定の方は公式ホームページをご覧ください。
そして私の携帯(ソフトバンク系の格安スマホ)では登山口から電波がなく、登山アプリ(YAMAP)の開始ができなかったので、電波があるうちに開始しちゃうのが良いと思います。ドコモ系は大丈夫でした。
外観
創業140周年となる本沢温泉。歴史を感じさせる外観です。明治時代に設けられた宿で、旅人や湯治を目的に来る人を迎えたそうです。
外にはベンチとテーブルもあり、晴れた日ではここで食事をとることもできそうです。宿の方によると、屋内に炊事場として使える場所(おそらく談話室)もあるようでした。
テント場
テントサイトも利用しやすそうでした。区画にゆとりがあり、地面も平たんです。
お部屋
お部屋は新館の個室を予約させてもらいました。新館か旧館は選べる感じではなく、予約時に新館でといわれました。とても広いです。ここから朝日を眺めることもできました。カーテンはありませんが、寒さは感じませんでした。お部屋にはハンガーもあります。
こちらも相部屋のようです。秘密基地感があって楽しそう。
談話室
談話室は火は入っていませんでしたが、本がたくさんありました。
日本最高所の野天(露天)風呂「雲上の湯」
標高2,150mにある、日本最高所野天(露天)風呂、「雲上の湯」。これが、本沢温泉に泊まる一番の意義といってもいいのではないでしょうか。ただし、いくつものハードルがあります。
- 風呂に行くまでの道が険しい
- 混浴である(水着推奨)
- 先客がいると待つのが基本ルール(っぽい)
- 次のお客さんがいると焦る
しかし、これらを乗り越えて入る雲上の湯のすばらしさ…。このワイルドさ。
桶が2つ、座る用(?)の板が横にあるだけで、着替える場所なんてもちろんありません。でもこのお湯がとてもいいのです。
ちなみに、想像以上の深さです。およそ150cmの私だと立っていても肩くらいまでありました。硫黄のにおいがしっかりあります。出ても体の温かさは続きました。
成分は、含硫黄、カルシウム・マグネシウム、硫酸塩温泉 (硫化水素型)だそうです。内湯とまったく違う泉質なのが面白いところ。
この景色ですよ。ガスってましたが、それでも素晴らしい眺めでした。次の人が待っていなければ、永遠に入っていたい温泉でした。
一応懸念点もお伝えしておきます。道が険しいので入れる時間が明るいうちと決まっています。また、どこで着替えるか問題があります。
個室だったので部屋で着替えて服の下に水着を着たまま行きました。ただ問題は帰りです。水着を着ましたというコメントは見かけるのですが、帰りはどのように対処したのかが分かりません。そこで私の場合はタオルで体を拭いた後、レインウェアを羽織りました。次の人は大体離れた位置で待ってくれているのですが、それでも気になるのであれば、濡れても平気な服を着ちゃうのもアリだと思います。ちなみに、私たちの先客は全裸男子が一人で入っていました。女子2人来たためか、焦っていそうに着替えてました。大丈夫! 見てませんよ。
内湯「苔桃の湯」(温泉)
内湯には苔桃の湯があります。内湯、外湯ともに小屋泊の方は何度入っても無料です。しかも私が行ったときは入れる時間が決まっていませんでした。通常の山小屋のお風呂だと男女で入る時間が分かれていたり、短かったりするので、ラッキーでした。朝風呂も行きました。上部が男性のお風呂とつながっているようでしたが、男女別です。
こちらのお湯は黄色いです。この色から苔桃の湯という名前になったのだとか。雲上の湯の成分と異なっており、ナトリウム・カルシウム‐硫酸塩・炭酸水素塩泉温泉だそうです。硫黄のにおいは強くなく、湯の花が沈んでいました。
ちなみに冬期は苔桃の湯ではなく、石楠花(しゃくなげ)の湯に入ることになるようです。いつか入ってみたいなあ。
食事・飲み物
今回は1泊2食付きでお願いしましたので、食事もバッチリいただきました。まずは夕食から。ここでの名物はなんといっても「おでん」ではないでしょうか。
おかずはごはんやお酒に合いそうな味の濃い系です。
飲み物も各種そろっています。生ビールも飲めるようです。山小屋価格にしては良心的な気がします。私は次の日が心配だったので、氷結に留めておきました。
朝食はこんな感じです。ごはんがすすむおかずでした。
ごはんを食べる場所はこの「第1食堂」となります。
ごはんについては普通の山小屋という感じで特に不満もないのですが、ひとつ気になることが…。それが片付けなどを優先されているためだとは思うのですが、全く別のお部屋の方と同じテーブル(しかも結構近い)距離で、ごはんを食べることになり、おひつもその方と分け合って食べるのが少々気まずかったです。他のテーブルも空いていたので、できたら別にして、おひつはどこかにまとめておいていただき、足りなければ取りに行くスタイルでもいいかなと思いました。
その他の設備
その他の気になった設備についても紹介しておきます。
充電・電波
充電はお部屋ではできません。新館では入口にありました。1時間100円で、コンセント必須です。
ただし、私はソフトバンク系の格安スマホなのですが、電波がほとんどありませんでした。完全にゼロではなくて、外に出たり移動したりすると稀にメールを送ったり受信できたりする感じです。お部屋ではまったく通じませんでした。ドコモ系の方がまだ通じるかもしれません。
水・飲料
煮沸せずに飲める水がトイレの前にあります。手洗いにも利用できます。凍結防止のためか、ずっと水が出たままになっていました。
屋外にも飲料水があります。こちらも煮沸不要そうです。天然水だそうで、とてもおいしかったです。テント泊の方はこちらで汲むと良いと思います。
服の乾燥
乾燥室みたいなところはなかったのですが、私たちが行った5月は夜や朝方、暖房をつけてくれていて、この上に洗濯物をハンガーでかけられる場所がありました。お部屋だと乾きが悪かったので、こちらをお借りしました。水着とか気にせず干してました。ごめんよ…。
濡れたものは、こちらにおいておくとよさそうです。新館と旧館をつなぐ場所にあります。
トイレ
男女別で分かれています。もちろん水洗ではありませんが、とてもきれいです。普通に山小屋のトイレを利用されたことのある方なら、使うことに抵抗はないと思います。むしろとても清潔な方だと思います。
料金
2023年6月時点では、素泊まり相部屋で7,000円から個室で一泊2食付きで12,000円と幅があります。昨今の山小屋と同様、不定期で料金は値上げしていそうだったので、最新情報をチェックすることをおすすめします。テント泊は1泊1,000円、温泉は別料金で入る都度かかります。
次に利用するならテント泊か、食事は自炊を入れて楽しんでもいいかなと思いました。
おすすめポイント
本沢温泉は、北八ヶ岳にあり、周りも人気の山小屋に囲まれているためか、なかなか予約がとれないとはならなさそうな雰囲気。テント泊初心者や山小屋デビューとしてもいいのではと思いました。
このような点でポイントが高いです。
- 日本で一番標高が高い露天風呂(秘湯)に入れる
- 泉質の異なる内湯の温泉にも入れる
- 登山口から近く、歩きやすい
- テント泊でも小屋泊でもどちらも利用可能
- 硫黄岳に近い
- 他の山小屋とあわせた縦走にも便利
お風呂好きの方は是非一度行ってみてほしいです。