世界遺産「熊野古道」ってどこにある? 登山やトレッキング好きにおすすめしたい理由

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世界遺産となっている熊野古道をご存じですか? あまり登山というイメージはないかもしれませんが、トレッキングからロングトレイルにも適した道なんです。もちろん登山できる場所もあります。実に900年以上前から歩かれてきました。熊野古道の場所と行き方、登山やトレッキング、観光地まで楽しめるポイントをご紹介します。

熊野古道って何?

熊野古道 中辺路
中辺路

そもそも熊野古道って何なのでしょうか。古い道とは何が古いの?道なの?それとも登山道なの?と疑問に思う人もいるではないでしょうか。

平安時代の終わり頃、上皇や法皇が天皇に代わって政治を行った院政の時代に、上皇たちが京から何度も訪れた場所でもあります。なかでも後白河上皇は34回も行ってます。行きすぎですね。院政のはじまりが1086年頃ですから、約900年ほど前から多くの人が歩いた道だと考えると感慨深いものがあります。

上皇の御幸をきっかけに庶民にも熊野詣が人気となり、蟻のような行列となって、熊野三山といわれる熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社を目指したといわれています。

この昔からある熊野三山を目指した道のことを熊野古道といいます。

そもそも熊野って?

実は古事記にも登場する場所です。夫婦であるイザナギとイザナミがおり、妻であるイザナミがさまざまな神様を生む過程で命を落としてしまった。そこで夫であるイザナギが黄泉の国へ行くのです。その黄泉の国が熊野ともいわれています。

「クマ」の解釈には諸説あります。たとえば神様の「カミ」を「クマ」ともいい、神がいるところを指す、死者が隠る(こもる)ところを指す、「隅」が由来で辺境の地を指すなどと言われています。

熊野は死に近い場所で、一度死んで生まれ変わることを期待して、訪問したわけです。

熊野古道ってどこにあるの?

熊野古道は三重県、和歌山県、奈良県、大阪府の4県にまたがり、全長1,000kmにも達すると言われます。世界遺産となっているのはそのうちの一部です。

ルートは全部で7つ。中辺路(なかへち)、小辺路(こへち)、大辺路(おおへち)、伊勢路(いせじ)、紀伊路(きいじ)、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)、高野山町石道(こうやさんちょういしみち)があります。

前述したように熊野古道の目的地でもある熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つを指します。熊野本宮大社は和歌山県田辺市に、熊野速玉大社は和歌山県新宮市に、熊野那智大社は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にあります。

中でも人気なのは中辺路です。このルートを三山を通りつつ歩くのが、最初の訪問ではいいかもしれません。この場合、紀伊田辺駅、那智駅、新宮駅のいずれかを最初の拠点とし、歩くのがいいと思います。

首都圏から行くのであれば、羽田から南紀白浜空港に飛行機で行き、滝尻王子から歩き始めるというルートが考えられます。ほかにも継桜王子から熊野本宮大社を目指すというルートでもいいかもしれません。田辺市内に泊まって街歩きを楽しむもよし、途中に温泉街や民宿もありますのでそこに泊まるもよし、ハイキングからロングトレイルまで楽しめます。体力に不安な方は公共交通機関を使って三山を直接目指すというのもいいですね。

四国のお遍路は舗装路を歩くことが多いですが、中辺路ではさほど舗装路は少なく、登山道や里山歩きが中心です。登山道、里山、舗装路が入り混じっています。舗装路であっても、道自体が美しく、思わず写真を撮りたくなるインスタ映えスポットが多くあります

山は途中にいくつかありますが、標高の低い山が多く、さほどアップダウンはありません。縦走に近い道が続くイメージでしょうか。とはいえ、道によっては傾斜のきつい場所もあります。しっかり歩く人は登山靴を履いて、汗冷えしにくい山の装備で行ったほうが安心です。

首都圏から行く熊野古道の行き方・アクセス

熊野古道へのアクセス方法は大きく3つあります。

飛行機で行く方法

羽田空港から南紀白浜空港へ。一日3便で日本航空(JAL)のみです。そこから直通バスでダイレクトに本宮へ行く方法と、明光バスで紀伊田辺駅へ行く方法があります。

新幹線

名古屋もしくは新大阪に行きます。名古屋からは、特急「ワイドビュー南紀」で新宮駅へ向かいます。新大阪からは特急「くろしお」で紀伊田辺駅へ向かいます。

高速バス

西武バスか明光バスで1便ずつあります。22時頃出発で朝の7時頃到着する形です。10時間くらいかかるので、腰が死にますが、値段は安かったです。

紀伊田辺駅から本宮大社を経てめぐる場合

紀伊勝浦からめぐる場合

正直なところ、東京から行くのは近いとは言えません。だからこそ、長期間滞在していただきたい場所です。

新型コロナの影響を受けた熊野古道の今

熊野古道は海外の方が多く歩いていたことをご存じでしょうか。スペインの巡礼で有名なサンティアゴと共通巡礼手帳を発行していることも影響してか、あるいはロングトレイルの流行によるものか、非常に多くの方が歩いていたと聞きます。しかしコロナ禍で日本に観光で来ることが難しくなりました。その結果、熊野古道を歩く人が激減したそうです。

日本では登山と聞いて熊野古道を思い浮かべる人は少ないように思います。確かに2,000メートル級の山はありません。しかし登山初心者やロングトレイル好きの人、トレッキング好きの人には満足できる山歩きになると思います。

熊野三山、そして五体王子といわれる儀式が行われた場所・神社が道中にあり、歴史好き、神社好きにも楽しめます。また、写真映えするスポットがたくさんあります。

ただならぬ雰囲気の巨大な木、この世ではない場所に連れて行かれそうな石段。山岳修験道、真言密教、神仏習合と複数の宗教が混ざりあった場所。上皇から庶民まで、何者でも受け入れてしまう懐の広さ。生まれ変わることができるといわれる胎内くぐり。一度足を踏み入れてほしい場所です。

新型コロナの影響を受けて歩く人が少なくなってしまった熊野古道。このままでは世界遺産の背景にもなかった里山の維持が難しいそう。私がもっと家が近ければ、週末ごとに通うのですが…。縁もゆかりもない土地なのですが、ここが今の状態を維持できなくなったらもったいない。なんとか私にできることを考えていきたいと思います。とりあえず誰か行ってください(笑)。

熊野古道に行くなら寄りたい! おすすめの場所

熊野三山以外にも、見どころはあります。

大斎原(おおゆのはら)

もともと熊野本宮大社があった場所でしたが、が明治22年(1889年)の水害により流されてしまったことで、今の場所に遷座したそうです。今では巨大な鳥居のみがありますが、周囲に何もさえぎるものがない開けた場所に、鳥居のみがあるのが強烈なのです。その場所のすごさをかえって際立たせてしまっているような。パワースポットとしても有名です。

大門坂

ここぞインスタ映えスポットではないでしょうか。木の大きさ、道の美しさに感動して動けなくなった覚えがあります。そして翌日も同じ場所に行ってしまったくらい、好きな場所です。

大門坂
大門坂

那智の滝

落差133mと日本一の落差をほこる滝です。圧倒されすぎて、呆然としてしまいます。

那智の滝
那智の滝

高尾山(たかおやま)

東京の高尾山と同じ名前ですが、こちらはたかおやまと言います。標高は605メートル。頂上や展望台には絶景が広がっていました。怖いくらいの場所があります。

高尾山(たかおやま)から見た景色
高尾山から見た景色

田辺市の街歩き

南方熊楠顕彰館や、熊野水軍が壇ノ浦の戦いで源氏と平氏のどちらにつくかを色の異なる鶏をたたかわせて決めたことが由来の鬪雞神社(とうけいじんじゃ)、味光路といわれる、細い路地に200店舗以上もの飲食店が並ぶ飲食街。人がすれ違えないほど細い道もあります。このあたりも建築物等の制限に関する条例があるようで、建物の色づかいが目にやさしく美しいものになっています。街歩き好きの人はこのあたりも楽しめそうです。

田辺市街歩きで見つけた古民家をリノベーションしたゲストハウスThe CUE(ザ・キュー)
田辺市街歩きで見つけた古民家をリノベーションしたゲストハウスThe CUE(ザ・キュー)

人気のお土産・行かないと食べられない名産品

行かないと(たぶん)食べられないシリーズからご紹介。

行かないと食べられない名産品

もちガツオ

春夏の間だけ食べられるその日のうちに採れたカツオのこと。もちもちと弾力がよく、採れてから数時間しか味わえないそう。田辺の味光路の居酒屋で看板が出ているお店を選ぶとよさそうです。

紀州ひろめ

海藻の一種で、こちらも春の間だけ採れます。紀伊半島南部で自生する海藻で、しゃぶしゃぶでいただくのがおいしいそう。

南方熊楠が愛した「おけし餅」

田辺の街歩きでしか味わえない「おけし餅」は南方熊楠の好物だったといいます。上下にあんこがのっているシンプルなお餅なのですが、餅のやわらかさが絶妙で…。辻の餅で買うことができます。

辻の餅

和歌山県田辺市北新町1

地元の人の聞いたおすすめのお土産

ここからはお土産をご紹介。いずれも地元の人に聞いたおすすめのお土産です。

みかん

和歌山といえばみかん! 果樹園の方によれば、おいしいみかんの選び方は小粒で日が射しているところにできており、ぎゅっと実がつまっているもの。みかんは真ん中より下半分が甘いのだそうです。

紀州梅

梅干しはお土産で買って帰ったのですが、「え、これ何」って二度見するくらいおいしかったです。今まで私が食べていた梅干しは、梅干しではなかったのか。

なんばんやき

正方形で、かまぼこのようなのですが、弾力がかまぼこよりも強い! わさび醤油やマヨネーズ、梅干しをのっけてもおいしい。個人的には焼いたほうが香ばしく感じました。

なんばん焼き
なんばん焼き

デラックスケーキのはしっこ

デラックスケーキはお土産で売っていますが、地元の人の推しは「はしっこ」だそう。チョコレートの部分が多くあり、お得感もあります。小さいのでつまみやすくなっています。

鬪雞まんじゅう

鬪雞神社 (とうけいじんじゃ) のすぐ近く、二宮というお店で売っている鬪雞まんじゅう。見た目もすごくかわいいのですよ。

二宮

和歌山県田辺市下屋敷町27

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お茶うけに旅の帰省のお土産に、二宮の和菓子はいかがですか。生菓子、団子など製造にこだわったお菓子を是非ご堪能ください。

ボイジャーブルーイング(クラフトビール)

エール好きにはたまらぬ…。4種類のビールが販売されています。tanabe en+(タナベエンプラス)で買うことができます。

tanabe en+(タナベエンプラス)

熊野古道についてご紹介しました。実際に歩いた道や地元の方の取り組みなど貴重な体験談は後日ご紹介したいと思います。