私は地図が読めない人間です。Googleマップですら迷います。自動車教習所では、地図が読めなくて何度も最後の試験に落ちました。そんな方向音痴な私でも登山の地図を何とか読み、目的地にたどり着けています。
道迷いを避け、体力に見合った登山道を選ぶために、最低限覚えておきたい等高線の見方、登山用語、地図の使い方、山と高原地図の特徴、無料で使える地図などについてお伝えします。初心者向けです。
最低限覚えたい、等高線の見方
地図に引かれている線を等高線と呼びます。これは等しい高さを結んだ線のことです。等高線の間隔が広い場合、緩やかな斜面となり、等高線の間隔が狭い場合は急な斜面となります。地図が苦手な人でも、ここだけは覚えておきたいポイントです。なぜなら等高線の間隔が狭い道を選んでしまうと、登るのがきついからです。どっちの道に進むか悩んだとき、体力がない人や疲れているときは、等高線を見て判断するのがおすすめです。私は時間が長くても、等高線が緩やかな斜面を選びます。
なお、国土地理院の25,000分の1の地形図では10m間隔に1本となります。地図を見て数えてみると標高差が分かります。今自分がいるところからどの程度標高が上がるのかを目安に、体力と相談して登るとよさそうです。
ちなみに等高線が丸く閉じているところが、最も高い部分です。これをピークと呼びます。通常、ピークが頂上を指すことが多いです。
登山で覚えておきたい用語
地図を見るうえで覚えておきたい基本的な用語を確認しておきましょう。
等高線
等高線は、等しい高さを結んだ線です。間隔が広い場合緩やかな斜面、間隔が狭い場合は急な斜面となります。
ピーク
ピークとは山の頂上を指します。等高線が丸く閉じているところが、最も高い部分です。
小ピーク
尾根上にある小さな突起や盛り上がった地形を指します。周囲よりも高くなった場所はピークと見ることができます。主要のピークに対して小さなピークをあえて分けるために小ピークと呼ぶ場合があるようです。
山頂
山の頂上であるピークを指します。複数のピークからできており、その総称を山名としている山もあります。
コル(鞍部)
ピークとピークの間の低くなった部分をコルといいます。馬の鞍に見立てて鞍部(あんぶ)と呼ぶこともあります。
尾根
尾根とは、谷と谷を分ける山の高みの部分です。地図上で見ると、ピークから見て膨らんでいるところを結んだものです。山の高い部分を結ぶ道で、稜線と呼ばれることもあります。
谷
尾根と尾根の間に挟まれた山の深みを谷といいます。谷に水が流れている場合、沢と呼ぶこともあります。
巻き道
山頂部やピークを迂回して進む道を指します。難所を迂回する場合や、通行止めなどによる別の道を指すこともあります。
ガレ場
さまざまな石が積み重なっている場所。浮石などもあり、不安定で歩きにくいです。地図には「ガレ」などの記載が載っていることもあります。
地図の使い方
地図は事前準備が大切です。以下のような手順で地図を使いましょう。
- 登る山の地図を用意する
- 地形や目印を観察する
- ルートにかかわる情報を地図に書き込む
- ルートをイメトレする
- 現地ではポイントとなる部分を確認する
- 迷ったら一旦立ち止まって地図を確認。分からなくなったら分かるところまで引き返す
やっぱり「山と高原地図」が強い
地図は「山と高原地図」が好きです。山と高原地図は、昭文社が出している地図です。初心者にはこれが最強と信じています。
価格
本体価格1,000円+消費税
入っているもの
地図
調査執筆の冊子(約44ページ)
縮尺
これは地図に応じて異なります。登るのに最適な縮尺が複数用意されているのだと思います。
たとえば「12那須・塩原」の場合、下記が入っています。
- A 那須・塩原 5万分の1
- B 周辺図 30万分の1
- C 那須岳 2万5,000分の1
- D 高原山・塩原 5万分の1
「43南アルプス 塩見・赤石・聖岳」の場合、下記が入っています。
- A 塩見・赤石・聖岳 5万分の1
- B 池口岳 5万分の1
- C 展望図
- D 深南部(6万分の1)
- E 安倍奥(6万分の1)
- F バス・鉄道アクセス案内
- G マイカー案内
- H 周辺図(100万分の1)
とこのように、ものに応じてさまざまな縮尺の地図が入っているのです。
どのような情報が載っているのかを紹介します。
- 登り、下りにかかるコースタイム
- 駅、バスなどの公共交通機関
- タクシー利用時の時間、金額の目安(バスなどがない場合に書かれている様子)
- 駐車場
- トイレ
- 山小屋の運営状況
- 季節の花々(何月にここからどの様ような花が見えるのか)
- 道の状況(急坂続く、冬期通行止めなど)
- 水場
- 休憩所
- 温泉
- 施設名
なぜ「山と高原地図」がいいのか
「山と高原地図」には、登山に必要な情報が凝縮されています。私のような地図を読むのが苦手な人間にとっては、目で見て文字で読んで理解できる地図が一番楽です。
これらの情報は定期的に改訂されていますので、その点でも安心です。
無料で地図を手に入れるには
国土地理院の地理院地図(電子国土Web)を利用し、プリンターで印刷する方法もあります。ただ、磁北線を引く必要があり、地図を読むのは初心者には難しいです。
無料会員とプレミアム会員でできることが異なりますが、無料でも十分利用できます。事前に行きたい山を調べ、ルートをダウンロードしておきましょう。私も使っていますが、これだけだと不安です。
みんな大好き山と渓谷社が提供する「YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)」サイトが提供する、登山地図&計画マネージャ “ヤマタイム”です。
ウェブ上で登山地図を閲覧したり、行きたいコースを選ぶと、ポイント間のコースタイム・総行動時間・各地点への到着時刻など、登山に必要な行程を自動で計算してくれるサービスです。会員登録はする必要がありますが、無料で利用可能です。地図を見慣れた方なら、ヤマタイムが一番よさそうに思います。ただし、トイレや食事の場所までていねいに書き込まれてはいません。
メジャーな山が提供している地図
高尾山、陣馬山などのメジャーな山ではハイキングマップなどをビジターセンターで提供している場合があります。しかし情報量は少なく、これだけで行くのは不安もあります。
私はやっぱり山と高原地図が好きです。
地図の豆知識
以前、山岳ガイドの川﨑拓兵さんが開催されていた「やまんど(山人)塾」で地図の見方の講座に参加したことがあるのですが、そこで聞いた豆知識をご紹介します。
ピンクテープ(赤いテープの場合もある)
道迷いしないようにつけられるテープです。このテープがあること自体賛否両論あるようですが、これは間違っている場合もあるようです。やむを得ない場合に、7、8割程度の信用度で見ていきましょう、と言われていました。
ちなみに、樹木がないガレ場などでは「〇」「×」といったマークが岩に直接ペンキで書かれていることもあります。これはもちろん「〇」のほうに進みましょう。「×」は進んではいけない道です。
登山は登る前が大切
地図は見るだけのものではなく、地図の中に自分を置いてイメージするものです。とにかく事前準備をし、道の特徴を書き込みルートを事前に決めて、登っている最中はコンパスで位置が正しいかどうかを確認するだけ、と言っていました。地形や角度の変化が大きい場所を事前に把握し、間違いに気づく根拠を持っておくことが大切だそうです。
一般的には標高差300m=1時間
地図を見ると、目安となる時間が書いてありますが、これは50歳男性の場合が多いようです。一般的には標高差300m=1時間が多いようです。
地図の表記は100%合っているわけではない
国土地理院の地図であっても、決められた予算の範囲内で調べた情報をもとに地図をつくっている以上、100%合っているとは限らないようです。だからこそ地図と周辺をよく確認して、地図上のどこに今自分がいるのか、1つの目印だけでなくいくつもの確認ポイントをもっておくことが重要です。
有料ですが、さまざまな講座があるので興味があれば覗いてみてください。
まとめ
地図の持ち歩き方
大体私はカラーコピーを持っていきます。雨が降っても大丈夫なように、ジップロックに入れてサコッシュに入れ、取り出しやすい形で持ち歩きます。くわえて地図アプリに事前に地図をダウンロードしておけば緯度経度も分かって安心です。電波が通じないときや電源が切れたときに備えて、一応コンパスも持っていきましょう。
実は私は道に迷ったことがあります。豪雨の中、前が見えず目印となるものが分かりませんでした。迷ったときは引き返したり、登頂をあきらめることも大切です。登る前に始めて地図を開くのではなく、事前に見ておきましょう。