登山のガイド本にはさまざまな種類があります。絵で見て楽しむもの、とっつきやすくして引き込むもの、理解を促進させるもの。
おおむね、その顔となる表紙は中身をうかがわせるものになっており、齟齬が発生することは少ないのではと思います。
そんな中、顔と中身が違うガイド本に出合いました。西野淑子さんの本「東京周辺お泊まりゆる登山」です。今回はこちらの本をご紹介します。
この本が向いている人
- 登山初級から中級者
- 首都圏近郊に住む人
書籍の概要
著者
西野淑子(にしのとしこ)さん
出版社
実業之日本社
価格
1,300円+税
発行年月
2014年4月25日発行
ページ数
124ページ
文調
ですます調
色
フルカラー
写真やイラスト/図解
豊富に写真が載っています。特に写真はかわいらしくて雑誌のようです。地図もあり、最低限必要なことは分かります。鈴木みきさんのイラストも最初に載っていました。
著者の紹介
関東近郊の低山を中心にオールラウンドに山を楽しんでいるフリーライター。著書に「東京近郊ゆる登山」、「女子のための!週末登山」などがある。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。
この本を読んで分かること、できること
分かることは大きく3点です。
- 初心者から中級者向けの首都圏近郊の山の概要が分かる
- お泊まりに適した場所がざっくり分かる
- 立ち寄る場所も含めた、自分好みの山を見つけることができる
女性向けを意識して書かれた本だと思います。写真に登場する登山者は女性が多く、立ち寄りどころでピックアップされるカフェや飲食店が魅力的。山だけでなく、その前後の楽しみを見つけることができます。
写真も淡いフィルターがかかったようで美しく、眺めてうっとりするのにも適した本です。休日、バルコニーでコーヒーを飲みながら眺めたくなります。
ただし、この本だけで登山に行くのはやや心もとない印象です。詳しい地図があったほうがいい山もあります。
また、かなりの高低差や急登、鎖場がある道も、さらっと書いてあるので、入門者・初心者が、この本のテンションでゆるふわっと登ると、しんどい目に遭う気がします。実際に私はやらかしました。
よーく見ると登山レベルに「慣れてきたら」「経験が必要」と書いてあるものもチラホラ。
大平山、棒名山、秩父御岳山、雲取山、谷川岳から、アルプスの入門と言われる乗鞍岳や木曽駒ヶ岳までさまざま。このように、山のレベルもエリアもさまざまなわけです。
とってもかわいらしいテイストを鵜呑みにせず、グレーディングをしっかり調べて、自分の技術と体力に立ち返る必要があるなと感じました。
少し登山に慣れてきた初心者が、次のステップアップのために使う本としておすすめの一冊です。
個人的おすすめ度
★★★☆☆
載っている山・コース
- 御岳山〜大岳山
- 笹尾根
- 秩父御岳山
- 大平山
- 飯盛山
- 車山
- 榛名山
- 塔ノ岳
- 雲取山
- 大菩薩嶺
- 北横岳
- 天狗岳
- 那須岳
- 谷川岳
- 明神ヶ岳
- 幕山
- 草津白根山
- 篭ノ登山
- 天上山
- 乗鞍岳
- 木曽駒ヶ岳