キャンプの醍醐味とも言える、焚き火。星空の下でぼーっと火を眺めるのは最高に贅沢な時間です。ひとつ持っていると、重宝します。
今回は初心者向けに、コンパクトな焚き火台の選び方と、おすすめの焚き火台、利用時の注意点をご紹介します。
私が重視する焚き火台選びの前提条件
私がおすすめなのは、とにかくコンパクトかつ軽量で、調理ができることです。コンパクトで軽量を重視しているのは公共交通機関でキャンプに行くため、1グラムでも荷物を軽くしたいからです。単に焚き火を楽しむものもありますが、食いしん坊なため、実用性を考えて調理必須にしています。
レアな商品ではなく、手に入れることが難しくない商品を対象にしています。使い方に迷ったときにレビューを参考にするためです。私は高いものは選びません。私のような初心者から始めた人でもすぐ使えるものを選んでいます。
コンパクトな焚き火台の選び方
では前提条件を紹介したところで、具体的に焚き火台の選定基準を紹介したいと思います。コンパクトなら何でもいいというわけではありません。焚き火台で何がしたいかによって、選ぶものは変わってきます。基本となるコンパクトさ、重さ、値段に加えて、以下3つの点から選ぶといいのではないかと思います。
1.火を使うか炭を使うか
薪を使って火を熾すタイプと炭を使うタイプがあります。薪と炭のどちらがいいというのはありません。薪は普通のガスコンロの上に鍋を置く感じで、炭は直接焼く感じです。
回りくどくなりましたが、お芋と焼き肉のどっちを食べたいかで考えると、わかりやすいのではないかと思います。
お芋なら火が熾せる薪、お肉なら遠赤外線でじっくり焼ける炭がおすすめです。キャンプ場で、自分がどちらが食べたいのかで決めるといいかもしれません。
なお、炭なら着火剤付きのものが100円ショップにも売っていますので、そちらを買うといいでしょう。実はライターなどを使っても、すぐに火がつくわけではありません。燃えるようになるまでに時間がかかるのです。そこで着火剤が含まれている炭を買うと、火がつきやすくなります。
炭の場合は、一度火がつけば、後から継ぎ足したり、火加減を調整する必要が少なくて済みます。面倒臭がりな人にはおすすめです。
薪を継ぎ足しながら燃え盛る炎を楽しみたい方は、炭向きの焚き火台を選ばないように注意しましょう。炭向きのものはコンパクトでいいのですが、薪を入れるのが面倒だったり、サイズ上薪が入らない焚き火台があります。
2.組むのが楽かどうか
コンパクトな代償として、組み立てるのが難しかったり、不安定だったりすることがあります。
私は不器用なので、少し組み立てが必要だったり形状が複雑だと割と時間がかかります。みなさんはそんなことないと思いますが、せっかくキャンプにきたら、まごつかずに組み立てたいですよね。
買おうと思ったら、組み立てられそうか動画を見たり、店頭で事前に確認するといいかもしれません。
3.灰受けが必要か
そのまま使うと下に煤が落ちてしまうものもあります。捨てるのが面倒な方や、煤・灰が落ちるのが気になる方は、煤受けがあると安心です。直火禁止のキャンプ場も多くあります。もっともアルミホイルなどを下に敷いてあげれば事足りるので、絶対になくてはならないというものではありませんが、あると地味に便利です。
それでは、上記3点のポイントと、重さ、価格の2点からコンパクトな焚き火台をいくつかご紹介します。
「秘密のグリルちゃん」 DOD(ディーオーディー)
火が使える:★★★★☆
組むのが楽:★★★☆☆
煤受けが不要:☆☆☆☆☆(煤受けは必要です)
軽さ:★★★★☆(590g)
コンパクトさ:★★★★★(収納サイズ30cm×7cm×0.5cm)
値段:★★★★☆(5,000円ちょっとくらい)
「秘密のグリルちゃん」のメリット
小型で軽量。ポケットに入るくらいの大きさなのに広げると大きい薪もそこそこ入ります。メッシュ部分のついた本体を広げ、上に網を乗せて組み立てます。網は1本1本が独立しており、外せるので洗うのが楽です。網を一部取り外して片側は焚き火にし、片側は網で鍋を置くなど調整を利かせるのもいいでしょう。
「秘密のグリルちゃん」のデメリット
軽い分、不安定です。重い薪を入れるとバランスが崩れることがあります。メッシュの上に色々乗せるのは難しいため、大きな焼き芋を入れて焼くのは難しいでしょう。煤受けがないため、下にアルミを引くなどして使うとよさそうです。
組み立ては少し難しいです。不器用な私でも一応組み立てることができました。なんだかんだで愛用しております。
「ピコグリル398」STC社
火が使える:★★★★★
組むのが楽:★★★☆☆
煤受けが不要:☆☆☆☆☆(煤受けは必要です)
軽さ:★★★★★(約450g)
コンパクトさ:★★★☆☆(収納サイズ33.5cm×23.5cm×1cm)
値段:☆☆☆☆☆(※14,000円から2万円弱と店舗によって価格異なる)
「ピコグリル」のメリット
軽いのに組むと大きく、鉄の棒や板を組み合わせるだけです。大きく組めるのに、重い薪も入れられる強度がピコグリル最大のメリットでしょう。ただし、煤は落ちるので、アルミを引くなどの対策は必要です。
「ピコグリル」のデメリット
値段は高いです。本当にそれが最大のデメリット。「秘密のグリルちゃん」が3つは買えるくらいのお値段です。それ以外は本当にいいのですが、キャンプにどの程度はまるかまだ分からない初心者に、強くはおすすめしにくいところです。
「TABI(タビ)」Belmont社
火が使える:★★★★★
組むのが楽:★★★★☆
煤受けが不要:☆☆☆☆☆(煤受けは必要です)
軽さ:★★★★★(約423g)
コンパクトさ:★★★☆☆(収納サイズ36.0cm×17.8cm×1.5cm)
値段:★★☆☆☆(※10,000円から13,000円程度と店舗によって価格異なる)
「TABI」のメリット
ピコグリルと同様、鉄の棒や板を組み合わせるだけなので軽くて楽です。大きく組めるのに、重い薪も入れられます。さらにピコグリルよりも軽くて、網が置きやすく料理がしやすい。
「TABI」のデメリット
値段は「秘密のグリルちゃん」などと比べるとやや高いです。しかし、ピコグリルよりも安いですし、何とか変えるお値段になっているのではと思いました。
使用感レビューしています。
「ピラミッドグリル・コンパクト」 ロゴス(LOGOS)
火が使える:★★☆☆☆
組むのが楽:★★★☆☆
煤受けが不要:★★★★★
軽さ:★★★☆☆(約1,000g)
コンパクトさ:★★★★☆(収納サイズ約24×18.5×3.5cm)
値段:★★★★☆(5,000円弱くらい)
「ピラミッドグリル・コンパクト」のメリット
コンパクトになり、折りたためて、パーツがいっぱいあり、そこそこ大きい薪も入れられます。しかも受け皿もあるから煤が落ちません。
「ピラミッドグリル・コンパクト」のデメリット
網で蓋をする形で、四角く閉鎖された空間で焚き火をすることになります。そのため、薪の追加がしにくいのがデメリットとなるでしょう。この商品は一度火をつけたら薪をくべる必要のない炭ならおすすめです。しかし、燃える炎を調整しつつ、調理したい人には物足りない商品になってしまうかもしれません。軽さは前述した2点ほどではありません。ただしその2点が異常に軽いので比較しづらいところではあります。
「コンパクト焚き火グリルB-6君」 笑’s(SHO’S)
火が使える:☆☆☆☆☆
組むのが楽:★★☆☆☆
煤受けが不要:★★★★★
軽さ:★★★★☆(約500 g ※本体のみ)
コンパクトさ:★★★★★(収納サイズ約18cm×12cm×1.8cm)
値段:★★★★☆(3点セットで6,820円弱くらい。そのものだと5,000円くらい)
「コンパクト焚き火グリルB-6君」のメリット
箱型でコンパクト、ソロキャンパーには打ってつけです。箱型で、風よけが不要で安定感もあります。煤受けもあります。コンパクトさでは本当にいい商品です。
本体の重さも軽めです。私が持っているのは初代のB-6君ですが、改良されてより使い勝手がよくなったようです。
「コンパクト焚き火グリルB-6君」のデメリット
着火剤のついた炭向きです。何かちょっと焼きたいという人にはいいと思います。しかし薪をいれて火をおこすことは難しい商品です。また、個人的にはホームページに書かれていたものより、やや重く感じました。パーツを色々つけられるので、そのせいかもしれません。ただ、付属品では軽めの網よりも、重めの網のほうが焼肉にはいいです。軽めの網だと、肉を焼いたときにくっついてしまい、トングなどで押さえる必要があるためです。
たぬ吉のおすすめ商品
今回ご紹介した中でコンパクトかつ軽量な初心者向け商品でひとつだけ選ぶなら、ベルモントの「TABI」です。以前は「秘密のグリルちゃん」推しでしたが、重い薪が入らない、バランスが崩れてしまうなどの難点はどうしてもあり、変えました。「ピコグリル」は本当にいいのですが、お値段も考えると、どうしても初心者には手が届きにくい価格です。今後一生の趣味にするならばいいのですが……。まだキャンプやアウトドアを始めたばかりという人は、キャンプ場で他の人が使う様子を見てから判断してもいいかもしれません。
オプションをつけるならまず100円ショップで
一度商品をそろえると、さまざまな付属品がほしくなります。たとえばトングをひっかけたり、クッカーをたくさんおけたりと自分にあった使い方をしたくなるでしょう。しかし、付属品とはいえ、本体の値段が高いほどそこそこのお値段となり、手が届きにくいものもあります。そのため100円ショップで代用できるものがないか、まず探してみましょう。
焚き火台を利用するときの注意点
焚き火台に利用する薪のサイズ
焚き火台に利用するために燃やすものは、基本的に購入します。周辺で枝や松ぼっくりなどを拾って使うこともできます。
そこで注意点ですが、薪が大きくてそのまま使えないこともあります。
小さな枝を売っているキャンプ場もありますが、どこでもあるとは限りません。
私は斧を持っていって割ったこともありましたが、だったら大きい焚き火台買ったほうがいいんじゃないかと悶々としたこともあります。
火の粉が飛ぶ
火を扱うので、服に穴が開くことがあります。穴が開いても問題ない服を持っていきましょう。ワークマンなどで燃えにくい服を入手するのもいいかもしれません。比較的安く売っています。
また地面や床を傷つけないよう、耐熱効果のある焚き火台シートがあると便利です。ない人はアルミホイルで代用可能です。
手袋もセットで持っていこう
熱くて素手ではつかめないけど、触らないと食べられないという自体が起こります。必ず手袋を持っていきましょう。最低限軍手はあったほうがいいです。
トング(火ばさみ)があると薪の組み方を変えるのに便利
薪の位置を変更したり、空気を通りやすくするために、薪は置いて終わりではなく何度も位置を見直します。火ばさみがあると、とても重宝します。
火がつかない場合の代替品を用意しよう
火がなかなかつかないことがよくあります。着火剤はお守り代わりに持っていきましょう。風があるとさらに付きにくくなります。どうしても難しい場合に備えて、固形燃料か、ガスがあると安心です。
鍋は煤だらけになる
鍋は煤だらけになります。薪でも炭でも、ガスと固形燃料以外なら、煤だらけです。つまり、手入れが大変です。思い入れのある鍋は使わずに、煤がついてもいいと思う鍋をアウトドア用にして、使い倒しましょう。
火吹き棒があると楽
火吹き棒は火が消えそうなとき、太い薪に火を燃えうつらせたいときなどに使います。安く手に入るうえ、火が消えそうでもかなりの確率で復活してくれるので、とても楽です。
そもそも焚き火台は必要?
こういってしまっては元も子もないですが、公共交通機関でキャンプに行く人やとにかく荷物を軽くしたい人には、必ずしも必要なアイテムではないと思います。
多くのキャンプ場では、道具を貸し出してくれますので、大きな焚き火台がほしい方は無理にそろえる必要はありません。また、使ってみて自分の好みを判断したい場合は、最初はキャンプ場で借りるところから、始めてもいいと思います。
頻度が高くなりそうなら、使い慣れたものをひとつ持っておくと、準備に手間取らないので安心です。